解決事例
- 2021.09.28
- 余命わずかと診断された場合の相続対策(死亡危急者遺言)を実施したケース
余命わずかと診断された場合の相続対策(死亡危急者遺言)を実施したケース/松本市
相続関係と状況
お父様の入院をきっかけに、当事務所に遺言書の作成でご相談にお見えになったAさん。ところが、お父様の病状が悪化し、余命わずかと医師より診断されたため、死亡の危機に迫られ、遺言書作成を急いで行う必要性がでてきました。しかし、遺言書を作成しようにも、自筆で遺言を作成することは困難な状態であり、公証人役場で公正証書遺言を作成する時間もありませんでした。
当事務所からの提案と具体的な解決策
余命わずかであるこの状況のもとで、通常の厳格な方式に従い遺言書作成をすることは困難であるため、公証人役場に行くことなく、口頭により速やかに作成することのできる「死亡危急者遺言」を当事務所から提案し進めることになりました。
遺言書の実物
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死亡危急者遺言の作成にあたっては、民法976条に定められている6つの要件を満たしていなければなりません。①遺言者が死亡の危急に迫られていること②証人3人以上の立会があること③遺言者が証人の1人に遺言の趣旨を口述すること④口述を受けた証人が、これを筆記すること⑤遺言者及び他の証人に読み聞かせ、または閲覧させること⑥各証人が、筆記が正確であることを承認した後、各自署名押印すること。なお、遺言をした日付の記載は要件とされていません。判例も日付の記載が不正確であっても遺言の効力は否定されないとしています(最判昭47・3・17判時663-59)
当事務所に依頼をした結果
死亡危急時遺言を作成するために、当事務所の司法書士1名及び職員2名が、急遽、お父様の入院している病院へ訪問することになりました。
個室ベットに遺言者が横たわる中、証人の1名が遺言者に遺言内容を質問したところ、遺言者は、一言一言、ゆっくりと自分の考えを話したため、急いで、遺言内容を筆記しました。証人の1名が筆記し、遺言者・証人に読み聞かせたところ、全員が「間違いない」と確認したため証人の全員が署名押印して遺言書を作成しました。
「死亡危急者遺言」は、他の遺言と比べて著しく要件が緩和されている関係上、当該遺言が遺言者の真意を反映したものであるかについて、遺言作成後に、家庭裁判所の「確認」という手続きをとることが要求されています。
遺言確認申立事件審判書
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病院で、遺言書を作成した翌日、長野家庭裁判所松本支部へ確認の申立を行いました。死期の迫った方の手続であるため、裁判所も、お父様の入院する病院へは申立した当日に訪問して遺言者と面会し、本遺言書がお父様の意思で作成されたことが確認されました。
その数日後に、お父様は亡くなられましたが、お父様の最後の力を振り絞って作成されたその遺言のおかげで、相続手続きはスムーズに進み、家族の方にも「大変助かりました。」とおっしゃっていただけました。
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